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中野貴成(埼玉医科大学・生化学・助教)

興味ある分野
消化管が繰り広げる代謝制御
代謝異常症は今や5人に一人が罹患する国民病であり、その対策は急務となっている。消化管は「栄養・水分を吸収する」臓器と一般には位置づけられ、代謝異常症との関わりでは、肝臓・骨格筋・脂肪組織に比べれば関心が高い対象ではなかった。
しかし多種多様なホルモンを分泌する消化管は内分泌制御の上では中心的役割を果たしている。近年のインクレチン研究の発展は、消化管と糖尿病との強固なつながりを示した。さらに腸管は脂質代謝の最上流に位置し、かつコレステロール排泄の主要臓器である(van der Velde et al. 2007 Gastroenterol.)。
私は腸管における脂質の吸収と排泄メカニズムの解明を通して、代謝異常症における消化管の重要性と役割を明らかにしたい。

神経系を介した消化管と代謝異常との関連
腸管神経系は自律神経系と連帯して中枢神経系とやりとりをしながら、摂食・消化吸収・代謝・貯蔵・排出という基本的な生命活動を円滑に進める役割を担う。近年この制御機構がメタボリックシンドロームや肥満、糖尿病などの代謝性疾患と深く関係していることが示唆されている。神経系を介した脂質代謝の制御がどのように行われているか、興味のある分野である。